こんにちは、ワタナベです。
みなさんは、月に洋服にどれくらいお金をかけていますか?
1万円?2万円?服が好きな人だったら、10万円以上かけている人もいると思います。
アパレル関係の人(僕も含む)や感覚の麻痺している人(僕も含む)たちは思わないのですが
それ以外の皆さんはこう思うでしょう。
服って高くない?
アパレル関係の仕事をしていると、
お客様から、どうしてこんなに高いの?ただの布でしょ?
と言われる時があります。
確かに、言わんとしていることはわかります。しかし、ただぼったくっているわけではありません。
その理由について今回は説明していこうと思います。
人件費
服ってただの布じゃん。
確かにただの布を糸で縫えば出来そうな雰囲気があります。
実際に自分の服を手作りしている人たちもいます。
しかし、ビジネスとなってしまうと話は変わってしまいます。
質を保ちながら、量を生産しなければなりません。
アパレル業界には、その質と量を保持するために様々な人たちが関わっています。
生地
まず服を作るには生地が必要です。いわゆる、「布」ですね。
ですので、生地工場についての
綿(コットン)、麻(リネン)、絹(シルク)や毛(ウール)などといった「天然繊維」や、ポリエステルやアクリル、ナイロンの「化学繊維」という糸を使って布を作ります。
布を作る際にも2つ方法があります。
一つは「織る」です。
縦糸と横糸を交差させて布を作っていきます。
つるの恩返しで、つるが一人でこっそり使っていた道具をイメージしていただければわかりやすいと思います!
もう一つは「編む」です。
糸をループさせて、その中に糸を通してまたループを作る、という方法で作られます。
母さんが夜なべをして作った手袋は、編み物ということになります。
最近では編み物(ニット)を使った、ニットジャケットなどというアイテムも出始めていますよね。
編み物ならではの伸縮性が魅力の商品です。
こうしてできた布に、染色をします。
そして最後に、機能をつけます。
樹脂でコーティングしたり、防汚加工をつけたり、撥水機能や難燃機能といった機能をつけます。
最近では、抗菌・抗ウイルス加工が施された生地なども出てきました。
以上が生地工場で行われている工程です。
「ただの布」と言われればそれまでですが、その布を作るためにたくさんの工程があります。
つまり、その分、関わる人が多くなり、人件費がかかります。
縫製
作られた生地は縫製工場にいきます。
ここでやっと服の形が作られていくわけなのですが、ここにも沢山の工程があります。
まずは、洋服を作るための設計図、型紙が必要です。
デザイナーがデザインした洋服にを実現するために型紙を作る人を「パタンナー」と言います。
パタンナーはデザイナーの意図を把握して、人体構造に合わせてパターンメイクしていきます。
生地はもちろん、ボタンや糸などの付属品に関する知識も必要なプロフェッショナルです。
こうしてパタンナーによってできた型紙に合わせて、生地からパーツを裁断していきます。
裁断時には、生地のロスが出ないよう、CADを使い、パズルのようにパーツを切り取っていきます。
こうしてできたパーツを、職人さんたちが縫製していきます。
ミシンで縫うだけでしょ?と思われるかもしれません。
しかし、自分の着ている服を見てみてください。
思ってる以上に縫われている部分が多いです。
なかなか気づかない部分の縫製や、頑丈にするために見えない部分も縫われていたりします。
こういった職人さんたちの技術に支えられているんですね。
こうして完成した製品は梱包され、店舗に発送、またはお客様のもとへ発送されていきます。
販売
こうして、皆さんのよく知る洋服屋さんに商品が並びます。
ここで皆さんが洋服を買うことで店舗に利益が生まれます。
どうでしたでしょうか。
製造から販売までの流れを解説いましたが、このように多くの人が関わっています。
質を高めるためには技術を持った職人さんたちの力が必要です。
そのため、どうしてもその方々の人件費の分が料金に含まれます。
アパレルという仕事
アパレルという業態にも高くなってしまう理由があります。
流行とファッション
ファッションには流行がありますよね。
トレンドのカラーやサイズ感、柄や素材といった多くの要素がとても早いサイクルで回っています。
S/S(サマー・スプリング:春夏物)や、A/W(オータム・ウィンター:秋冬物)という言葉もあるように、一年に2回も新商品を発売しなければなりません。
つまり、ファッションとは、とても足の速いナマモノということになります。
ブルックスブラザーズのジャケットやバブアーのオイルドジャケットのように「The・定番」といったアイテムたちは、多少のブラッシュアップのみで済むかもしれませんが、他のアイテムとなるとそんなわけにはいきません。
ブランドとしても、腐ったアイテム(表現が汚くてすみません泣)をいつまでも在庫として持っておくわけにもいかず、セールを行ったり、寄付を行ったり。それでも捌けないものは焼却処分をするしかなくなってしまいます。
ファッションという特性上、流行とうまく付き合っていかなければならないです。
そのため、ブランドは、いずれ売れなくなる分も見込んでの利益を含めた金額設定をおこなうというのは想像にそう難くないでしょう。
他にも、環境のことを考え、少量生産をすることで対策するブランドもあるでしょう。
しかし、少量生産というのは、大量生産よりも効率が落ちるため、どうしても金額は高くなってしまいます。
ユニクロや無印といったブランドがとても安くいいものを提供し続けられているのは、定番品を多く取り扱っており、大量生産をして、大量の店舗で売るという業態ができているためなのです。
ブランド/デザイナー
ハイブランドやラグジュアリーブランドという言葉があるように、世の中には富裕層向けの価格で、富裕層向けの商品を出しているブランドがあります。
Louis VuittonやGUCCI、PRADAなどといったブランドですね。
では、どうしてハイブランドは高いのでしょうか。
大きな要因としては、デザイナーとブランドイメージがあります。
世界的な有名デザイナーがデザインした商品は大きな影響力があります。
日本人デザイナーだと、村上隆や三宅一生といった有名デザイナーがいますね。
ユニクロも最近、続々と有名デザイナーとコラボをしています。その度に大きな話題を呼んでいますよね。
影響力がわかると思います。
あくまで、推測で、確実性は一切ありませんが、普段のユニクロの値段とコラボ時の値段を比較すると大体何%がデザイン料なんじゃないか、といったものが分かるかもしれません。
他には、ブランドイメージを守るために高価格に設定している場合があります。
海外ブランドにはなかなかセールを行わないブランドなどもありますよね。
そういった戦略の一つとしてあえて金額を高く設定し、その分を広告費に回すなどといった作戦をとっているブランドもあるかもしれません。(もちろん、質も最高級です)
社会問題
人権問題やSDGs
以上のように、様々な理由から洋服というものは金額が上がっていってしまうわけなんですね。
こういった現状の中、企業側も様々な努力をしています。
しかし、手段を見誤って間違いを起こしてしまう場合もあります。
2021年には、ウイグル自治区の少数民族が「綿摘み」などの強制労働に従事させられていたというニュースが報道されました。
つまり、マイノリティーの人たちに無理やり綿を摘ませ、コストを抑えようという思惑で、日本企業も捜査されたようです。
2017年には、バーバリーがブランド価値を守るため、大量の在庫を焼却処分した、という報道もなされました。
アパレルという業態をめぐって、様々な社会問題が起きているという事実を知っておいて損はないでしょう。
まとめ
正直、僕は、社会問題や環境問題には疎い、一介のアパレル従事者です。
難しいことはわかりませんが、こういったファッションの裏側を見ることも、(言い方は悪いですけど)一つの楽しみなのかなと思います。
ファッションのバックボーンを多面的に知ることで、より奥深く洋服を楽しめるのではないでしょうか!
このブログでは、ファッションに関する情報などを配信していく予定です。
ぜひ、他の記事もご覧ください。